大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 平成12年(ラ)585号 決定

主文

本件抗告を却下する。

抗告費用は、抗告人の負担とする。

理由

1  本件抗告の趣旨及び理由

本件抗告の趣旨及び理由は、別紙「即時抗告状」及び「即時抗告理由書」(各写し)記載のとおりである。

2  当裁判所の判断

抗告人は、本件抗告において、①原審で事件本人Aに関する精神鑑定を行った医師の氏名を知らされておらず、その鑑定内容に疑問を感じていることから、禁治産宣告の審判に不服があること、②原審が事件本人Aにつき禁治産宣告をした際、事件本人と身分関係のない弁護士Dを後見人として選任したことは不当であるから不服があることなどを主張するものと解される。

しかし、家事審判法一四条は、審判に対しては、最高裁判所の定めるところにより、即時抗告のみをすることができる旨定めているところ、禁治産宣告の申立人は、家事審判規則二七条二項により、禁治産宣告の申立を却下する審判に対して即時抗告を申し立てることができるのみであって、禁治産宣告の審判に対して即時抗告を申し立てることはできない。

また、家事審判規則二七条は、民法七条に掲げる者等が禁治産宣告の審判に対し即時抗告をすることができると規定しているが、右の趣旨は、禁治産宣告に不服のある前記該当者に即時抗告の権利を与えたものであり、これと同時にされた後見人選任の審判に対し即時抗告権を認めたものではなく、他に後見人選任の審判に即時抗告をすることができる旨の規定は存しない。そうすると、後見人選任の審判に対し、独立して不服申立をすることはできないと解するのが相当であるから、禁治産宣告と後見人選任が同時にされた審判に対する即時抗告において禁治産宣告が相当であるときは、抗告裁判所は、原審判中の後見人選任の部分につき、その当否を審査することはできないというべきである。

以上によれば、本件は、抗告人の申立によって禁治産宣告がされたものであるから、抗告人の禁治産宣告の審判についての即時抗告は不適法であり、したがって、これと同時にされた後見人選任の審判に対する即時抗告も不適法である。

よって、本件抗告を却下し、抗告費用を抗告人に負担させることとして、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官・塩崎勤、裁判官・小林正、裁判官・萩原秀紀)

別紙<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!